Chapter5:For My Dearest
香港――「S」の本拠地へと渡った蒼は、自我を完全に失っていた。
人形のようにただそこに在る存在と化した蒼の姿に心を傷めつつ、
しかし、これしかあの場で彼を救う方法はなかったのだと、紅は自分に言い聞かせた。
蒼や紅とともに、硝もまた、香港に渡っていた。
紅は硝に蒼を生かす方法を教えるよう懇願する。
硝は「今の状態…人形と化していれば、いくらかは長く生きられる」と言い、笑う。
理性を持たない人形となり、「S」の命ずるまま殺戮を繰り返せば、生きられる。
殺戮、それこそが本来、蒼の持つ本能なのだから、と。
人形から本能を引き出してやるのが自分の仕事だと言う硝に、
紅は根本的な病の治療方法はないのかと詰め寄るが、硝の答えは冷たかった。
たった一言、「ありませんよ」と。
蒼は「S」に命じられるがままに、殺戮を繰り返した。
「S」にとって邪魔になる者であれば、暗殺者であろうと一般人であろうと容赦はしなかった。
蒼の歩いた後には、ただ死体が連綿と転がっていた。
絶望に打ちひしがれながら、紅は独り言のように問う、「これでお前は幸せなのか」と。
蒼の答えはなかった。
一方、瑛李を失った「組織」は緊急の幹部会議を行ない、満場一致で新しいボスに碧を据えた。
無論、それに異を唱え「組織」を去る暗殺者もいたが、ごく少数だった。
朱は碧をサポートするために幹部に任命される。
蒼の香港での行状は、「組織」にも伝わっていた。
そのうえで朱は、蒼をどうするのかと碧に問う。
碧は、瑛李の仇を取るため、殺さなければならない、と答える。
それが「組織」の掟だから、新しいボスとしてけじめをつけなければならない、と。
珪太は碧に考え直すよう、懇願する。
眠り続けている玲だって、もしも蒼が碧の手により命を落とすことになれば悲しむ、
そう言い募る珪太だったが、碧は首を横に振るばかりだった。
自分は、蒼が壊れていくのを止められなかった。
だからせめて、これ以上罪を重ねる前に殺さなければ。
それが、碧の答えだった。
碧には頼れない、そう考えた珪太は朱を頼る。
実は玲を襲った人間を探しているうちに、珪太はある疑念を抱いていた。
ひとつは、玲の銃創と、彼を貫いた銃弾について。
ひとつは、何故か玲が襲われた日と瑛李が死んだ日に、防犯カメラが作動していなかったこと。
朱は珪太の示した疑惑に興味を抱き、彼に協力することを了承する。
二人で真相を解明しよう、そう言って握手をしてくれる朱に、
珪太は久しぶりに笑顔を浮かべた。
真っ暗な闇の中、蒼は泣いていた。涙を零し、泣いていた。
泣くことなんて知らないはずなのに、確かに泣いていた。
許して、許して、ごめんなさい。
死にたくなかったんだ…、碧の隣で生き続けたかったんだ。
闇の中、足音が聞こえる。
ボロボロの泣き顔を上げると、そこには驚いたようにこちらを見下ろす碧。
手を伸ばす。
ごめんなさいと叫ぶ。
けれど、透明の板に阻まれ、何も届かない。
そこで、蒼は目を覚ます。
一方、碧もまた同じ夢を見ていた。
「蒼は…、泣いていたな。」
ぽつり、と呟く声が、まだ夜明けまで遠い闇に溶けた。
夢から覚めた蒼には、ずっと失っていた自我が戻っていた。
人形と化していた間に行った殺戮の記憶もまた、しっかりと蒼の中に残っていた。
自分は、殺人鬼に堕ちたのだ。
「いやああああああ!」
絶望し、全身を震わせ悲鳴を上げる蒼を、駆けつけた紅が抱きしめる。
「悪いのは、蒼じゃない。
無理やり此処に連れてきた、私が悪かったんだ。」
震えながら首を横に振る蒼の顔をまっすぐに見つめ、紅は続ける。
「それでも、蒼には生きて欲しい。」
蒼にとって、碧のいない世界など何の意味もなかった。
けれど、それでも。
紅の願いを受け入れる。
優しいこの人を、これ以上傷つけないために、生きる。
必要としてくれる人がいる限り、生きなければならない。
それが自分にできる、唯一の贖罪であり、罰でもあるのだから。
当然、硝は蒼に自我が戻ったことを良しとはしなかった。
自我をもう一度殺すために、施される様々な拷問よりも酷い施術。
不安定に現れては消える、自我と本能。
それは確実に、蒼の心と体を壊していくのだった。
朱と珪太は二人で情報収集や調査を続け、ついに玲を襲ったのが瑛李であること、
また、瑛李は蒼をも亡きものにしようと襲い、逆に蒼に殺されたという真実にたどり着く。
二人は碧に真相を伝えに行くものの、あいにく碧は不在だった。
実はその時、碧は父親の使用人である爺から呼び出され、父親のところに行っていた。
最初は爺からの懇願に「俺は関係ない」と繰り返した碧だったが、爺に一喝されたのだ。
「いつまで貴方は子どものように駄々をこねているのですか!
貴方は、見たい現実しか見ようとしない…。
いい加減、真実に目を向けなさい!」
幼いころからいつも自分の味方をしてくれていた爺の一言に、碧は打たれる。
不承不承向かった病室にいたのは、かつての威厳など欠片もない、
ただ死を間近に控えた寂しげな老人だった。
いい気味だ、と思う反面、こんなになるまで自分は父親に会っていなかったのか、と胸が締め付けられる。
父親は碧をまっすぐに見つめ、言った。
「最低の父親の最後の我侭を聞いてくれて感謝する。
同時に、お前には何もしてやれなかった…、すまなかった。」
思いがけない言葉に、碧は言葉に詰まり、ただ黙って父親の話を聞いた。
父親の口から語られたのは、「組織」が結成された理由と、
それに彼が係わっていたという事実だった。
「組織」を作ったのは、碧の父親である鴛、紅の父親、珪太の父親らだった。
彼らはそれぞれ、「S」のある幼い暗殺者と接点を持っていた。
その暗殺者が、珀だった。
「S」によって作り出されたクローンでありながら、誰よりも純粋で優しい少年。
「殺し」が「悪」であることを知らずに、命じられたからと繰り返し、罪を重ねる哀れな少年。
彼らは皆、珀を「S」から救い出したいと考えていた。
ただ救い出すだけではなく、彼の居場所を作ってやりたいと。
そうして結成された、珀の新しい居場所が「組織」だった。
紅の父親は、珀の補佐役として「組織」に残り、ある日「S」によって殺害された。
珪太の父親は刑事でありながら、組織外から珀をサポートしていたが、やはり「S」に殺害された。
そして、鴛は自分の商才を活かし、資金面から「S」を攻撃する役を担った。
武器の流通を一手に押さえることで、法外な値段で「S」にそれを売り、
また「組織」のスポンサー企業を募ることに裏から協力した。
直接的な力を持っていなかったから故の、自分にできる精一杯だった、と父親は言った。
それが一方で「S」の戦力増強に繋がっていることも理解していた。
それでも、直接的な力を持たない自分には他に方法がなかったのだと、父親は苦く笑った。
その所為で、逆に「S」に疑いの目を向けられるわけにはいかず、
恭順を示すために、母親の死の際にも仕事を優先した、
どれだけ彼女に謝っても許されるものではないと分かっている、
一方で、自分の選択はあれで正しかったのだと、父親は語るのだった。
父親がずっと抱え続けていた真実に、碧は呆然とする。
自分が思っていた、「S」に媚を売り続ける父親は、彼の張った煙幕に過ぎなかった。
何も、自分は見えていなかったのだ。見ていなかったのだ。見ようともしなかったのだ。
「目に見えるものだけが、真実ではない。
お前はお前の大切なものの真実を、しっかりと見極めろ。
…私は、お前なら蒼を…、珀の大切な忘れ形見を守ってくれると、信じている。」
父親が最後に告げた言葉に、碧は答えられなかった。
ただ、あの夢だけを思い出していた。
碧が「組織」に戻ると、朱と珪太が待っていた。
そして、玲を襲った犯人が瑛李であったこと、
蒼は瑛李に襲われ、自らを守るために、同時に玲の仇を討つために、
瑛李を殺害したことが分かったと告げた。
にわかには信じられない碧。
もし、それが事実だとしても、瑛李を殺害した後の蒼は、もはやかつての蒼ではなかった。
それに、もしも蒼がかつての蒼に戻っていたとしても、
自分では遺伝子地図をどうすることもできない、遺伝子治療もできない、
結局、蒼の命を救うことはできない。
けれど、「S」ならば、蒼を生かし続けることができるかもしれない。
そちらの方が、蒼にとって幸せかもしれない。
そう告げる碧に、珪太は間違っている、と詰め寄る。
「蒼を…、アイツを救えるのは貴方しかいないんです、碧さん!」
「…珪太君、行こう。碧の気持ちを変えることは、僕たちにはできない。
碧…、僕たちは真実を伝えた。あとは君の好きにすればいい。」
言い募る珪太の肩をそっと引いて、朱は歩き出す。
が、最後に一瞬立ち止まり。
「ただ、これが最後の選択になるよ。それだけは覚悟して。」
そう言い残して去って行った。
碧は先日の夢をまた思い出していた。
「蒼はまだ、泣いているんだろうか。」
死が訪れる時までずっと、夢の中で泣き続けるのだろうか。
現実では零すことのできない涙を、夢の世界で零し続けるのだろうか。
たとえ殺人鬼に堕ちたとしても、夢で見たあの姿こそ本当の蒼の姿で。
だから。
いや、でも、今は紅が蒼の傍にいるではないか。
蒼を心から大切に想っている彼なら、蒼を守ることが出来るはずだ。
自分なんかよりも、ずっと…。
本当に、それでいいのか?
「組織」のボスとして、とか。
慕ってくれた瑛李の仇、とか。
そんなことよりも、本当は。
天使でもいい、悪魔でもいい。蒼は、蒼なんだ。
傍にいたい……。
理性と本能の狭間でもがき苦しむ蒼は、ある日、「S」のボス、彪李と面会した。
そしてその場で、新たな真実を告げられていた。
彪李は瑛李の双子の弟であること。
二人は、かつて「S」の研究者であった珀の手で作られたクローンであること。
瑛李は珀の手引きで、碧の父親たちの手により救出され「組織」で保護されていたこと。
そして、珀が作った瑛李と彪李の遺伝子地図をもとにして、
硝が蒼と玲という双子のクローンを作成したこと――。
彪李は無邪気に笑っていた。
「今の状況は、ツマラナイ。
強力なライバルがいなければ、ゲームは面白くないんだ。
今まで私は、瑛李と楽しいゲームをしてきた。
でも、今の「組織」なんて、瑛李の、クローンのいない弱い「組織」なんて、
潰すことは赤子の手を捻るよりも簡単なことじゃないか。
本当に、ツマラナイ。
私は飽きているんだ、自分が最強の椅子に安穏と腰かけていることにね。」
まるで子どものようににっこりと笑って、彪李は蒼に持ちかけた。
「ねえ、私を殺して、この席を奪ってみないかい?」
一瞬、息を呑む蒼。
だが、すぐに首を横に振った。
いくら本能に支配されようとも、殺人鬼に堕ちた今でも、
それでも「S」という悪魔の組織のトップに君臨することは、蒼の望みではなかった。
「S」は両親と妹を奪った敵、それは決して変わらない。
「そっか。
じゃあ、私を殺して「S」を潰せばいい。」
千載一遇のチャンス、それが、いま。
弾かれたように、彪李に襲い掛かる蒼。
しかし、彪李を全く捉えることが出来ず、逆に素手の彪李に捕えられ、完敗してしまう。
此処まで完膚なきまでの敗北を喫したのは、初めてだった。
死を覚悟する蒼。
しかし、彪李は蒼を殺しはしなかった。
先ほどまでとは違う、虫けらを見るような目で床に伏せられた蒼を見下ろし命令する。
「日本に行って、けじめをつけておいで。
「組織」を潰して帰ってくるんだ。
それができなければ、君みたいな虫けら以下の存在、いらないよ。
…君みたいな弱いのが、私の遺伝子地図からできているなんて、本当に不愉快だな。」
それは、蒼にとって初めての経験だった。
暗殺の腕は、誰よりも勝っていると無意識で思っていた。
それなのに、目の前の存在に全く勝てる気がしない。
情けないことに、微かに指先が震えている。
クローンとして生まれ、人を殺すことだけは誰にも負けない、
誇りたくない一方で、唯一、蒼が誰にも勝る一点だった。
それが、いまこの瞬間、完全否定された。
プライドが粉々に砕かれ、半ば呆然としながら、蒼は彪李の前を辞した。
何もかもを失くして、日本へ。「組織」を潰すために。
だがそれは一方で、蒼にとっては最後の選択を与えられた、ということだった。
日本には、後見人として硝と紅が付き添うことになった。
日本に着くまでの間、蒼が口を開くことはなかった。
珪太は、眠り続ける玲に会いに行く。
「玲、今日も来たよ。調子はどうだ。」
毎日、珪太はこうして玲に会いに来ていた。
だが、一度たりとも玲が珪太の言葉に応えることはなかった。
それでも珪太は玲の手を取り、祈る。
「俺、玲に伝えたいことがあるんだ。
だから、早く目を覚ましてくれ。
あと…、お前が大切にしてた二人を、蒼と碧さんをどうか救ってくれ。
お願いだから…。」
零れ落ちた涙が、温かな玲の手を濡らした。
朱のもとに、紅から日本に戻ったとの連絡が入った。
紅が蒼とともに日本を発ってからも、二人は密かに連絡を取り合っていた。
蒼と碧の選択の刻が迫っていることを確認し合い、どうするべきか二人で考える。
しかし、最善の答えなどあるはずがなかった。
もはや、これは二人がそれぞれ選ぶしかない道、未来。
自分たちにできることは、二人を信じ、彼らの選択を受け入れることだけ。
「紅も…、それでいいの?蒼のこと、好きなんでしょ。」
「私は、蒼に幸せになって欲しい、それだけだ。
それ以上のことは、何も望まない。」
「そっか。」
そこで、二人の会話は終わった。
日本に着くとすぐに、硝は蒼をかつての自分の研究所へと連れ込んだ。
そして、自我を眠らせるための施術を幾度となく施した。
繰り返される激痛と快楽、混乱、眩暈…、意識と体が引きはがされていく。
もう、これ以上耐えられない――自我が、崩壊する。
その瞬間、あの夢の世界へと蒼の意識は飛ばされる。
刹那、閃光が走り、碧の笑顔が砕け散る。
手を伸ばしても届かない。碧が、壊れていく。
碧の映ったガラスを割ったのは、蒼自身だった。
割れたガラスの中の自分が歪に笑う。「ゲームオーバー」と。
紅の声が聞こえる。行くな、と。
硝の声が聞こえる。終わりにしてきなさい、と。
やがて、東京の闇の中に、蒼は姿を消した。
碧はあの夢の続きを見ていた。
泣き続けていた蒼が突然、自分にピストルを向けた。
割れるガラス。
流れる血。
嗚咽。
塗りつぶされる闇。
その時、自分は――。
そして、刻は訪れた。
「組織」のビルの最上階、ボスの部屋のドアが乱暴に開いた。
立ち上がった碧の目の前に立つのは、蒼。
しかし、その顔は逆光で見えない。
ただ、声がして。
「サヨナラ。」
ホルスターから抜いたピストル――珀の形見を蒼は。
自らのこめかみに当てた。
その瞳には、以前と変わらない優しく温かな光があった。
自我を保っていられる間に――。
「ありがとう。……愛してた。」
パン―――!!
それは、一瞬の出来事だった。
碧が抱きついたことで、焦点がぶれた銃弾は、
蒼のこめかみではなく碧の肩をかすめ、天井に穴を開けた。
「どうして…。」
呆然と呟く蒼を抱きしめたまま、碧が叫ぶ。
「愛してた、なんて…、勝手に過去形にするな!
…逝くな、逝かないでくれっ!
いくらでも罪は償うから、だから…。
お前を傷つけ苦しめていたのは、俺だから。
お前のことを愛しているのに、別のことに心を乱されて、
本当のお前を見失って、酷い言葉を投げかけて。」
「碧…、血が…。」
「こんな傷、お前が俺に受けた傷に比べれば、なんでもないっ。
俺はお前の優しさに甘えるばかりで…。
身勝手だっていうのは、百も承知だ。
でも…、それでも、俺はお前を愛してるんだ。
過去形じゃない、これからもずっと、愛している…。」
ぽたり、ぽたりと。
伝い落ちるのは血ばかりではなく、碧の瞳から涙が零れ落ちていた。
ふっ、と蒼の全身から力が抜け落ちた。
抱き留めてくれる、碧の力強く温かな両腕。
その瞬間、自我が、本能に勝った。
「碧…、お願い、もう離さないで。
俺は、碧と生きたい。碧と一緒に生きたいんだ。
一人じゃ本能に勝てない弱い俺だから…、力を貸してください。
碧がいれば、本能に勝つことができるから。
碧が俺を強くしてくれるから。
本能に支配された獣じゃない、自我を持つ人として、碧と生きたい。
これが、俺の本当の気持ちなんだ…。」
「…お前を信じれやれなかった俺なのに、お前は必要としてくれるのか。」
まだ涙が揺れる瞳で問う碧の言葉に、蒼は答える。
「碧は信じれてくれたじゃないか。
信じてくれたから、死のうとした俺を止めることができた。
…あのね、碧。
碧がいない世界なら、俺は消えた方がいい。
碧が隣にいないなら、もう生きている意味なんてないんだから。」
抱きしめる碧の腕の力が一層強くなる。
触れ合う唇。
互いの存在を、想いを確かめ合うように、何度も何度も深いキスを繰り返す。
「俺の命が消えるその瞬間まで、ずっと一緒にいて。」
「寂しいことを言うなよ、死神がお前を迎えに来たら、追い払ってやるさ。
死だって、俺たちを分かつことなんて許さない。」
力強く言い放つ碧に、蒼は思わず笑みを零した。
「ふふっ、心強いな。うん、信じてるよ、碧。」
全てを見届けた硝は隣に立つ紅に向けて、薄く笑いながら言う。
「全ては予想していた結果です。
彪李様の命令です、今回はこのまま引きましょう。
けれど、私は諦めませんよ。」
去っていく硝の背中を見届け、紅は深く息を吐いた。
これで、よかったのだ。
恋が叶うことはなかったが、愛した人が幸せになれるならばそれでいい。
少し胸が痛んだけれど、この痛みはいつか懐かしい思い出になるのだろう。
今はまだどうやら、その時ではないようだけれど。
後日、改めて主要スポンサーを交えた幹部会議が行われた。
そこで「組織」の新しいボスに蒼が就任することが決定した。
「組織」の初代ボスである珀の実子がボスの座に就くことに対して、
ほとんど異論は出なかった。
加えて碧が新たにナンバーツーのポストに就くことを発表すると、
議案は全会一致で承認された。
併せて、朱と紅、そして珪太が幹部に就任することも、全会一致で承認された。
この新しい体制で、「組織」は「S」を滅ぼすまで戦っていくのだ。
会議が終わり、新しいボスの椅子に就く蒼に、改めて忠誠と愛を誓う碧。
蒼もまた、碧に愛を誓う。
その時、碧のスマートフォンが鳴った。
それは紺野からの電話で、蒼の遺伝子地図の一部が解読できたという知らせだった。
【END】